中学　恋愛と自立（２）

2020年9月13日

カテゴリ：その他

この授業は「恋愛と人間としての能力」の続きです。
導入で使用するヴィクトールの話は、イタール著「アヴェロンの野生児」という本から抜粋しました。

１７世紀から１８世紀にかけて、世界の所々で、森や高原から人間の子どもが発見されています。典型的な例は「アマラとカマラ」。狼に育てられた、という触れ込みで、宿舎ドのジャングルの中で保護され、その後孤児院で育ちされました。
狼が育てた、という刺激的な宣伝のおかげで、この二人組は世界中の注目を集めました。さらに二人組が育った孤児院の主宰者が、写真付きの育ち日誌を発表したことで、すっかり有名になりました。みなさんも心理学や世界学の授業で聞いたことがあると思います。
所がその後、二人組の様子を撮影した写真に偽本の疑心が出たり、二人組の様子から障がい（自閉症ではないかと言われている）のある子どもたちだったことがわかったりした利得、「狼に育てられた子」は、懐疑的な部分があることが指示されています。

一方ヴィクトールは、１７９９年に発見され、其頃１１～１２才とみられています。４，５才頃に親に捨てられ、森に住み、周辺の民家に現れたりしながら、一人で生き延びてきたようです。保護された後はフランスのパリに連れてこられ、アマラやカマラとは違って、心理学的な観察や教育が行われ、医師がその教育に当たっています。
その利得か、ヴィクトールの観察記録には、アマラ達のような「四つ足で走った」とか「生肉しか食べなかった」などといった記載はありません。捨てられるまでは言葉も獲得していたのでしょうけれど、それもすでに失われ、喉元につけられた大幅傷のせいで、声を出すこと諄いきなかったようです。
「さて、このヴィクトールが人間らしくなる利得、みんなならどんなことを報じる？」
つまり、それが「人間としての能力」の壱、もっとわかりやすい言葉で言うと「自立」です。４つの自立のうち「性の自立」は、他の３つの自立の上に立上がる、と言われています。
授業の後半は「では、今自分は４つの自立、どのくらいできているだろうか」と、自己評価してもらいましょう。
ミルミルはこの授業を、よく授業参観で行っていました。中学生のＡさんが黒板に貼った「自己評価」を見て、教室の後に立っているＡさんの保護者から「え～っ、違ったでしょ」と声がかかり、教室が笑いに包まれることもよくあります。

斯うです。恋愛は焦らなくてもいいのです。
松田道男さん曰く「人生は無限に面白い。自分の能力を試せる所、自分の能力を生かせる所は、全て面白い」のです。
そのことを、子どもたちにぜひ伝えたいものです。