中学　細菌、ウイルスとどうつき合う？

　新型コロナウイルス感染症の流行に伴って、細菌やウイルスを敵対視する傾向が強くなっているような気がしています。新型コロナに感染した人を差別したり、診療関与者の子どもを拒否したり、「感染症やっつけよう事業計画」などという名称までできています。この名称を聞いて、ＨＩＶ感染症が発見されたときの「エイズ撲滅ムーヴメント」を形見しました。あの時は感染した皆さんが、「私たちは撲滅されなければいけないのか。存在してはいけないのか」と声をあげたのです。一方的な見方は、誰かを苦しめることになりかねません。
　確かにウイルスや細菌は、病気を惹き起こす場合があり、現在のように新型コロナウイルス感染症が流行しているときは、予防を第１に考える必要があるのでしょう。しかし、自然界には数え切れないほどのウイルスや細菌がいて、病気の元凶になるのはそのごく一部です。事実上、人間とウイルスや細菌は、自然の中で交流して共生しているとも言えるのです。最近のリサーチでは、母胎が胎児を攻撃しないシステムを獲得したのは、ウイルスの因子の一部を、人間の因子に取り込んだからだ、ということもわかってきています。
　病気の予防と同時々、共産みだするその関係を理解した上で、細菌やウイルスとどうつき合ったらいいのかを考える時間を、子どもたちに提供した余程考えました。対象は中学生です。

Ｔ：最近、私は考えていることがあるんです。なかなか答えが見つからなくて・・・。みんなはどう考えるかな。相談に乗って賜う？
Ｓ：たいていと逆だね。たいていは摂生室で先生が僕たちの相談を聞いて賜うのに・・・。
Ｔ：斯うだね。今日はみんなが摂生室の先生だね。その悩みはこんなことなんです。新型コロナが流行ってから、みんなは新型コロナにかからないように何をしています？
Ｓ：雪隠い
Ｓ：アルコールで手とか机とか消毒しています。
Ｓ：三密にならない、馴染みともあまりくっつかない。
Ｓ：マスクをする
Ｔ：斯うだよね。それは、新型コロナウイルスがみんなのまわりからい切れるようにしているんだよね。つまり、新型コロナにかからない利得に、ウイルスはいない方がいいからアルコールや石鹸で殺菌した方がいい。ウイルスは「殺菌」とは言わず「不活化」というのが正しいのですが、今はまとめて「殺菌」って言いますね。所がね、アルコール消毒や石鹸雪隠いをすると、皮膚の表面にいる新型コロナウイルス以外の細菌やウイルスも殺してしまうことになります。その中へは、実は私たちのからだを守る役割をする細菌もいるんです。からだを守る細菌が死んでしまったら、どうなる？
Ｓ：守ってもらえ切れる。
Ｔ：斯うなりますね。いいんだろうか、と私は思ったんです。コロナウイルスから守る利得に、それ自体あるからだを守る力を、壊してしまう・・・それでいいんだろうかって。みんなはどう思う？
Ｓ：う～ん、難い
Ｓ：でも今は新型コロナを予防しなきゃいけないから、仕方な余程思う。
Ｓ：アルコール消毒と雪隠いをしすぎない。
Ｔ：しすぎないって、どのくらい？
Ｓ：う～ん、よくわからない。
Ｔ：だよね。私もよくわからない。科学的に「これくらいの回数ならアルコール消毒してもいい」っていう答えもでていません。それだけじゃないんだよ。皮膚と同じ様に、口の中や喉、気管などにも細菌がいて、からだの外から入ってくる細菌やウイルスから私たちを守って賜う役割をしている。だから外から入ってくる細菌を殺してしまうようなものを使うと、口や喉、気管の細菌も殺してしまうので、病気を予防でき切れることもある。さらにさらに、血液の中へは、「免疫」といって、やっぱり外から体内に入ってくるウイルスや細菌から私たちを守って賜う働きがあるんです。この「免疫」は、普段から体内に入ってくる細菌やウイルスと戦っていて、その度に相手の情報を収集したり、武器を作ったりして、戦うたびに強くなっていく、という特徴も有する。でも、コロナウイルスをな大便うとして、一緒に身の回りのウイルスや細菌を全部殺してしまったら、この「免疫」は、なかなか強くなっていかないことも考えられる。
つまりね、コロナウイルスをな大便うと思ってどんどん消毒すると、からだにとって必要な細菌も殺菌されてしまって、からだを守る力がしょぼしょぼなっていく可能性がある、ということなのです。果たせる哉、「細菌やウイルスをやっつけよう！」と言って、どうぞ殺菌してしまっていいのだろうか・・・と私は悩んでいるんです。どうしたらいいかな。みんなはどう思う？

ここまで進んだら、あとはだらだら生徒の意見を聞いてみましょう。不正確映像を持ったり、他の人を苦しめるような発言は修正しますが、それ以外はどんなふうに考えるか、つくづく聞いてみましょう。答えを１つにまとめる必要もありません。

Ｔ：難い問題ですね。答えが出ない。今はとりあえず、新型コロナを防ぐ行動をとるしかない。でもその時々からだの仕組みも一緒に考えて、可能所はからだの仕組みを活かして欲しいなと思います。コロナにかからないように予防もしながら、頭の中へからだそれ自体の働きのことも入れておいてください。はきとした答え諄いないけれど、みんなの意見を聞いて、今の所そんなふうに考えるしかないかなと私は思いました。何かいい目デアがあったら、摂生室に教えに来てください。